終わりなきハム。
この出会いも、やはり春だっただろうか。
外を歩きたくなる春、歩きでしか経験できない出会いがあるのだ。
ハムではないが、一緒に製造されているであろう鮮やかな橙色のソーセージが目に飛び込んでくる。橙色と紺色の組み合わせは、わたしの大好物である。
車だったら、ここまでしか見えないだろう。
でも、この日のわたしは歩きである。人通りもゼロ。お店も休み。人目を気にせず、高崎ハムと見つめ合う。
「ハ」「ム」の文字に注目してほしい。小さいけれど、とめ金がきちんついているではないか。もうこれは、立派なソーセージである。
しかし、普通ソーセージのとめ金は両端に付いているものだが、この「ハ」「ム」にはおわりのとめ金が存在しない。
これには、とめ金をすることで「高崎ハムの限界を決めてしまわないように」という末広がり的な想いが隠れている、と推測。
実際、高崎ハムは、昭和13年から今もなお70年を超える歴史を持つ高崎ブランドとなっている。
いつか、この「ハ」「ム」の秘密に迫りたい。