くろみき電波塔。

とりあえず続ける。

ライブレポート/鎌田純子

 2016年8月28日、鳥取県鳥取市にあるBook Cafeホンバコの2階、客席は10席ほどの小さな空間で開催された鎌田純子『Hello!ツアー〜鳥取編〜』。(セットリストは最後尾に記載)

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 大阪の音楽専門学校を卒業し、2002年から活動を重ね、今までに10枚のオリジナルCDをリリースしている鎌田純子。同じ専門学校を卒業した今川瞬(ギター)と共に年間150本を超えるライブを展開している。

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(左:鎌田 純子 右:今川 瞬)

  開演5分前に会場に到着した私は、小さな会場にもかかわらず彼女を探してしまった。彼女は、会場に集まった観客たちとあまりに自然に溶け込み、笑顔で会話をしていた。ライブ直前であるにも関わらず緊張感は全く感じさせず、ライブ開始までの時間を楽しんでいたようだ。人懐っこい彼女が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、とても楽しみになった。

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 今回のライブで2回目、約8ヶ月ぶりの来鳥となる。開始時間になり、「帰ってきましたー!」と彼女が挨拶をすると「おかえり!」と会場からの声。「なんか泣けるやん」とかわいらしい関西弁で返すといよいよライブが始まった。といっても、観客との距離感は開演前とほとんど変わらない。マイクも、スピーカーも、アンプも、ステージすら使わない。そこにあるのは、今川瞬が奏でるアコースティックギターと鎌田純子の歌声だけだ。

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 まず1曲目は「愛の人」。手塚治虫が大好きという彼女が、愛に溢れる手塚治虫のことを思って作った曲だという。優しい彼女の歌声は、私の心配はよそにマイクがなくても、ふんわりと会場を包み込んだ。

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 2曲目「ただ声になって」はしっとりと切なく、時には彼女の小さな体から放たれる力強い歌声で、会場を一気に魅了した。3曲目「ツキハズム」では、彼女のうますぎる口笛と、会場を軽快に歩いたり、観客の隣に座ってみたりと、さっきとは打って変わって無邪気なかわいらしい少女のような仕草により、会場にも自然と笑顔が溢れる。

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 この後は、彼女にとって特別な存在だと語るスピッツのカバーが続く。「スピカ」「うめぼし」「涙がキラリ☆」「謝々!」「猫になりたい」など少々マニアックな曲も合わせながら、鎌田純子バージョンに見事に変換し、とても楽しそうに歌い続けた。

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 9曲目「悲しみが果て」に続き、10曲目「ラッシー」は会場とのコーラスを試みるが、思いの外難しいメロディをうまく歌うことができない観客。みんなで何度か練習を重ね、なんとか最後は歌えるようになって一安心。こうして、和気藹々と前半が終了した。

 少し長めの休憩をはさんだが、今川瞬がおもむろにギターを弾き始めると、自然と後半のライブが始まった。

 初めて歌ったという「はじめてのチュウ」のカバーから始まり、2番の「デートコースはもう決めたんだ」というフレーズを「デートコースは砂丘に決めたんだ」と鳥取バージョンにアレンジし、鳥取市民の心をつかむ。

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 その後は新曲が続き、12曲目「まじゃれん」は今までのふんわりとした曲調とは異なり、鎌田純子の進化形態を思わせるような曲だった。気がつくと自然と体がリズムに乗って揺れてしまうようなダンスミュージックが新鮮に感じた。13曲目「のけもののけもの」は、これからもっとアレンジを加えていきたいという新曲らしく、ここからどう変わっていくのか、とても楽しみである。

 ここで、Book Cafe ホンバコ店長お待ちかねの、アイドルグループももいろクローバーZカバータイムに突入。彼女も隠れモノノフ(ももクロ好き)らしく、私も噂には聞いていたがまさか本当に披露してくれるとは思っていなかった。「サラバ、愛しき悲しみたちよ」と「走れ!」を時折ダンスやコールも交えながら会場を盛り上げる。原曲は電子音たっぷりだが、アコースティックギターと鎌田純子の歌声で、ちょっぴり大人な雰囲気で楽しめるアイドルソングを堪能することができた。

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 終盤に差し掛かると、先ほどまでの賑やかさが嘘のように、しっとりと静かに「週末のこと」を歌い、優しく包み込むような透き通った歌声で「朝が来るまで」を歌い上げ、会場の空気を一気に変えた。

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 そして、最後の曲「かさねる」。毎日のように様々なライブをしている中で、場所も違い、空気も違い、人々も違う中で、その時しか感じられない重なりを大切にしていきたいという、彼女たちの思いが詰まった曲でライブを締めくくった。

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  全19曲というボリュームたっぷりのライブだったが、あっという間に時間が過ぎていた。その中で、少女のような無邪気さ、大人になってしまったからこその切なさ、芯のある力強さと優しさ、包み込まれるような心地よさを味わうことができた。また、あの小さな空間だったからこそ、表情、詩、メロディ、歌声、演奏を通して、彼女たちの作り出す世界をダイレクトに感じることができたことはとても貴重な経験であった。

 高校生の時にアルバイトをしながら、スピッツのライブを観るために各地に通う追っかけをしたという鎌田純子。それがあったからこそ、旅の楽しさを知り、世界を広げてくれる音楽の素晴らしさに気づいたと語っていた。

 現在彼女たちは、青春18きっぷの期間を主に利用しながら各地のツアーを組み、地方への移動は基本的に電車を利用しているという。あの時高校生だった少女が、今まさに旅を楽しみながら、自分自身で音楽を作り、今度はアーティストとして、日々のライブを楽しんでいるのだ。そして彼女もまた、多くのライブを通して様々な人たちに影響を与えているアーティストであることは間違いない。

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  セットリスト

  1. 愛の人
  2. ただ声になって
  3. ツキハズム
  4. スピカ(スピッツ
  5. うめぼし(スピッツ
  6. 涙がキラリ☆スピッツ
  7. 謝々!(スピッツ
  8. 猫になりたい(スピッツ
  9. 悲しみが果て
  10. ラッシー
  11. はじめてのチュウ(あんしんパパ)
  12. まじゃれん
  13. のけもののけもの
  14. サラバ、愛しき悲しみたちよももいろクローバーZ
  15. 走れ!(ももいろクローバーZ
  16. 週末のこと
  17. 朝が来るまで
  18. 雨のこもりうた
  19. かさねる  

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