さよなら私 / みうらじゅん
最近の深夜のメンヘラ具合が深刻化してきたので、すがるような思いで本を読んだ。
思い返すと、ちょうど一年前に一度読んでいた本だった。
一年前の私は、悩んでいるようで悩んでいなかったのかもしれない。何かを考えているふりをして何も考えていなかったのかもしれない。さらっと読んでしまった記憶しかない。
あの時は週に5日会社に行き、週に1日バイトに行き、週に1日完全オフ。このサイクルを約6年間続けていた。
ただただ毎日が過ぎていく。やりたいことがたくさんあるのにできない。それを仕事のせいにしたり、バイトのせいにしたり、人のせいにしながらかわいい自分を守っていただけだったのかもしれない。
"何をしてもいいと、言われるほど困るものはありません。何だってできるはずなのに、何一つ才能がなく、何もできないことの悲しさに比べれば、いっそ不自由であってブツブツ世の中に不平不満をブチまけていたほうがマシ。"
だから、その時全く引っかからなかった文章が目に留まる。
仕事も辞めて、鳥取に移住した。自由な時間がたくさんある。やっとやりたい事が自由にできる!!それなのに幸せだと思っていたことが、時々とても苦しくなる時がある。
自分に期待しすぎていたのかもしれない。鳥取に移住したら、勝手に何か変わると思っていた。
"そもそも、自分探しなんて、まだ自分にはいい面が残っているはずだって信じてるわけでしょ?
探したあげく、最悪な自分しか見つからなかったらどうします?"
読んでいて、少しゾッとしてしまった。確かに自分に期待してなかったら、自分探しなんてしないな。
そして私の最大の課題、「いい人願望」。
"結局は自分がかわいくてしかたないわけで、立場の悪くなった自分をいかにその場から逃がしれやるか、そのことばかりで頭がいっぱいです。"
本当にその通りだ。もしかしたら、物心ついた時からこんなことを考えながら生きてきたのかもしれない。他人のことを考えているふりをして、自分のことばかりを考えていたのかと思うと、やっぱり落ち込むけど納得もしてしまう。
それに加えて、自分で勝手に作り出した「自分らしさ」や「理想の自分」もあるもんだから、メンヘラ状態に陥りやすいのだ。
"すべての悩みの原因は、自分があると信じていることなのですから。"
なかなか難しい本は読めないし、難しい事を考える事ができない私にも、少し考えさせてくれて、ヒントをくれる本。おもしろい話や優しい言葉の中に、ドキッとさせられるようなことが埋め込まれている。読み終えて、楽になるようなならないような、スッキリするようなしないような、でもなんか気づけてよかったかもなーと思える一冊。みうらじゅんは好きなことしてて、気楽でいいなーと単純に思っていたのが、申し訳ない。
また、1年後に読んだら違う言葉にいろいろ考えさせられるんだろうな。
というわけで、「くろみき春の定期本」に決定。
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ガリ版で名刺を作ってみた。
明治、大正、昭和を生きた日本人とガリ版の縁は深い。たいていの人が一つや二つのガリ版エピソードを抱いている。(「ガリ版ものがたり」志村章子著より)
昭和生まれの私だけど、ついこの間まで「ガリ版」という言葉すら知りませんでした。
時代は1963年。
まず、タイプの異なるイケメン2人に魅了される。
水沼氏に頼まれ、「ガリ」を切るメル。
その横で、何かを刷り始める風間氏。
このシーンがとても印象的だったのと、このままではいつかイケメン2人に「ガリ」を頼まれても何もできず、話が発展しない。
というわけで、ガリ版をやりたいと思ったわけです。
ただ、道具もないし、仕組みもよく分からない。時間ばかりが過ぎていきました。
そして今。職とともに今まで当たり前に使っていた名刺がなくなりました。名刺は自分で作るしかありません。手書きのもの作りましたが、生産性が悪すぎる。こんな時こそ、あの「ガリ」だー!と思い立ち、移住前にワークショップに参加してきました。
そしてそこでの経験を活かし、名刺を作ってみました。
①デザインを考えます。
せっかく手書きだからおもしろいフォントにしようと思ったけどこれが限界。
②ロウ原紙に鉄筆を使い下書きします。
(私のは代用品で、スクリーントーンを貼るときに使うトランサーを使いました)
③ヤスリの上に移動し、鉄筆で念願のガリガリ。
(メルが頼まれていた仕事です)
結構筆圧が必要だし、思った以上に細かい調整ができない・・・これは修行が必要。
④いよいよ刷ります。
↑やっと揃えたガリ版セット(手作り感満載)
↑さっきガリガリしたロウ原紙と名刺になる紙をセッティングします。
↑ローラーにインクをなじませ刷ります。(メルの隣で風間氏がやっていた作業)
⑤できましたー!
じゃーん!
満足度は70%だったけど、もったいないので、25枚くらい刷ってみました。
後日、裏面も作ったけど満足度は40%。刷らなきゃよかった・・・
完璧に乾くまで、2〜3日かかるらしいです。
まとめ
・単色&文字だったら、意外と簡単にできる。
・電気がなくてもできる。
・そもそもガリ版て何?って人は、こちらのサイトを!(謄写版(ガリ版)のサイト|10-48.net)ここのワークショップに行ってきました。
・刷り作業中は無心になれる。心が落ち着く。
・ガリ版ができたところで、イケメンから「ガリ」を頼まれることはない。
今日はいい天気だ。”上を向いて歩こう。”
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日曜の昼下がり。
出会おうと思っても、出会えない。
やっぱり、出会いは突然なのだ。
たくさんの偶然が重なって、この形になったんだろう。今のこの姿は今しか見られない。明日にはもう姿を変えてしまうかもしれない儚さを感じながら、しみじみしてしまった。
ただ「高」の文字だけは、どんな経緯であんな角度になったのか。難しいことはわからないけど、単なる劣化とか自然現象ではない気がする。
すぐにイメージしてしまったのは、誰かが「高」にジャンプしながらアッパーをくらわしている光景。そうではないとわかっていても、それがしっくりくる。地味に「高」の中の小さい「口」の部分が少し傾いているところなんか、やっぱりそうなんじゃないかと妙にリアルを感じてしまう。
そして、大好物の穴埋めクイズ形式看板だ。やっぱり思がけないところが抜けているので、とてもおもしろい。でも、さすがに私も大人なので、店のどこかで眠っているであろう外れてしまったパーツの形は容易に想像できる。今回は楽勝だったな。
穴埋めクイズ形式看板を見るといつも思い出す。
地元埼玉県で見つけた看板には、レベルが高すぎて大人の私でも未だに解明できていない穴埋めクイズがある。
見る度にもやもやが止まらない。このいじわるタヌキめ。
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とっとりさんぽ。
2016年4月29日(金・祝)
「鳥取市花のまつり」と「古本と暮らしの蚕市」に行きつつ、まちなか探索。with 西尾さんと中尾さん。いつも引きこもり癖のある私をなにかと連れ出してくれる。
リアルタイムにブログを書かなければと思っていたのに、気がつくとまもなく1週間が経とうとしている。鳥取に来てから、毎日面白いほどネタがたまっていくのに、アウトプットが追いつかない。できれば、伊集院光 公式ブログ Powered by LINEくらいの頻度で更新したいものである。
鳥取駅からのメイン通り若桜街道が歩行者天国になる11:00、行動を開始。
まず鳥取仏教会の方々から頂いた甘茶を飲み、そしてお釈迦様のお誕生日をお祝いする甘茶かけを体験。
聖☆おにいさん読者の私は、静かに興奮しながらお祝い。
心の中のテンションはこれくらい。
そのあとも、マリリン・モンローに出会ったり、
なかなかシュールだけど、大人気の公園に行ったりしました。
この雰囲気の中に、明らかに違うところからやってきたであろう百獣の王。
この公園では、置物だけでなく実際の動物も飼育しているらしいので、またゆっくり来てみたいと思う。
それから、山二鳥というお店の「紙ものまつり」で、claraさんの「てづくりモビールちゃん」(なんと一点もの!)を衝動買い。
そして、古本に触れる。今まで古本=BOOK OFFくらいの乏しいイメージしかなかったが、古本の魅力に少し気づけた気がした。古本屋には、たぶん欲しくても簡単に手に入らないようなびっくりするほど古いものもあるし、思いがけない本との出会いがごろごろ転がっている。ということで、古本デビューをしてみた。
それ以外にも、ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだりしながら、結局歩行者天国が解除される16:00まで満喫。
あれから、約1週間。なかなか与謝野晶子の本に手が出ず、甘茶の行を確認しながら、聖☆おにいさんを夢中になって読み返していた。ブッダいけめん。
今日こそは、ブッダではなく与謝野晶子に魅了される夜にするのだ。
めざせ、文学少女。あ、少女ではないか。
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樗谿グランドアパートⅡ
先日、夢中になって撮影した「樗谿グランドアパート」。
36枚撮りフィルムで撮ったものがあったので、現像した。
現像を頼んでから、出来上がるまでの時間のドキドキ感は、デジカメでは味わえない大切な時間だ。
いつもプリントはしないで現像のみをお願いし、家でネガからスキャナーでパソコンに取り込む。結構時間がかかるが、正直この作業をしている自分が好きだ。完全に自己満足。
これが終わったら、ブログにアップしようと作業を進めていたわけだが、そこでダークサイドに落ちる。
薄暗い建物の中で撮った写真は、ほとんど露出不足により暗いものしかない。あの日の素晴らしい光景はこのフィルムには残っていない。
自分の力の無さに落ち込んだ。
それでもどうにか撮れているものが何枚かあった。
コンセントの穴。
コンセントの穴。
赤いミラーとコンセントの穴。
白い棚と赤いミラーとコンセントの穴。
壊れかけのコンセントの穴。(一番気に入っている写真)
なぜか、コンセントの穴だけは全部撮れていた。
私の「樗谿グランドアパート」の記録は、残念ながらコンセントの穴で幕を閉じることになる。
しかし、コンセントの穴も歴史を振り返る上では、きっと貴重な資料だ。いつか提供できるように大切に保管しておこう。
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擬人化はたのしい。
飲み屋の多い鳥取の中心市街地。
シェアハウスまでの帰り道にあるお店。
ぽてっとしたかわいらしい形の文字。「ひ」「ふ」「る」の3文字。
普通にこの3文字を考えたら、形も似てないし、共通点も見当たらない。そんな3文字に統一感を与え、バランス良く作られたデザインに嫉妬してしまう。「る」に関しては、単体で見たら「る」と読める自信はないが、その思い切りの良さがまたしびれるのだ。
そして、色。明るすぎる緑、白ベースの看板に全く映えない黄色、シックな赤と青を組み合わせたこの不思議な看板は、まるでそこに集まる人を象徴しているかのようだ。
緑は若者、赤はママ、青は常連客の大人の男性として考えてみよう。
恋人にフラれた1人の若者。孤独だ。でも、今日は友達にも会いたくないし、ひとりぼっちの家にも帰りたくない。かといって、いつも誰かと行っているような飲み屋に1人で入る気分にはどうしてもなれない。途方にくれながら袋川沿いを歩いていると、スナックの看板が目にはいる。少し入ってみようか。最初は、カウンターの片隅で時々ママと会話を交わしながら1人で静かに飲んでいた。しばらくすると、ママを通していつの間にかカウンター席にいた常連客とも会話をしていた。普段あまり関わりのない大人たちの、くだらないけどおもしろい話は、少しの間孤独を忘れさせてくれた。上機嫌で帰ったものの、ひとりぼっちの家は孤独の恐怖を増殖させる。でも、少しづつ乗り越えよう。孤独は自分を見つめ直す大きなチャンスだ。それでもやっぱり寂しくてどうしようもないと思ったときは、あそこに行こう。そう、SNACKぴーぷる。
勝手な妄想が膨らむ。
別の日に通ったら、カラオケの音が漏れていた。
その次の日に通っても、カラオケの音が漏れていた。
それから、通る度にカラオケの伴奏と上機嫌な男性の歌声しか聞こえてこない。
カラオケか・・・。私の妄想には登場しないし、こんなに歌われたら、私の妄想は成立しない。
そっと心の中にしまっておこう。
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鳥取のフランス。
あの日、衝動買いできなかった。
でも、鳥取に移住したら、自分に移住祝いとして買おうと決めていたもの。
鳥取とは思えない空間。
現代とは思えない空間。
出会ったのは、国も時間も超えてしまったような場所だった。
「antiques+Green」
フランスのアンティークを扱うお店。今までの経験上、こういう洒落たお店にはいけすかない店員がツンとしている。少し入りづらかったけど、勇気を出して入ってみた。
お店の方はおしゃれで、おもしろくて、やさしい、すごくいい人だった。やっぱりここは鳥取だ。
そして、この品物に出会えたのだ。3ヶ月考えて、衝動ではなく、計画的に購入した。
1900年代中期フランスの「ステレオスコープ」と「ステレオフィルム」。
こんな感じでフィルムをセットして覗くと、写真が立体的に見えた。感動する。
これは、覗いた人にしかわからない。というか、残念ながら伝えたいけど伝えられない。
フィルムは1箱12枚セットになっていて、風景写真がほとんどらしい。その中で珍しい動物園フィルムを入手。
みんなかわいい。ずっと見ていられる。見つめていたら、いつか動物たちの会話が聞こえてきそうだ。
移住してから、毎晩体育座りでパリの動物園を眺めるステキな趣味ができた。
また、もう少ししたらフィルム新調しに行こう。
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